アルド・ロッシ自伝 | 推薦文


執筆:米田正彦


公益社団法人日本建築家協会
関東甲信越支部 書評サイト掲載
2012年

『書籍』アルド・ロッシ自伝
『著者・写真』アルド・ロッシ(著) 三宅理一(訳)
『発行所』鹿島出版会
『推薦者』米田正彦
『難易度』☆☆☆☆ 星の数(1つから5つまでで・・・)

『書評』

原書(翻訳用)のタイトルは「A SCIENTIFIC AUTOBIOGRAPHY」である。「科学的」または「学としての」自伝という意味は、一般的な表現方法により書かれた自伝ということではなく、作者の創作活動における「環境と時間」において、自らがとらえうる「細やかな事物」を「類推の光に照らして」分析し書き表わした書ということである。そのために「体液停止の感覚(stasis)こそ発展の条件だった。」とロッシは語る。ある象徴性をもつ抽象的形態とその反復を好むアルド・ロッシ。そのデザインスタイルは「無数の模倣」を生み出したが、その著書において創造に関する論理を独自に構築したという点でそれらの模倣物とは一線を画したといえよう。本論の展開に合せ挿入された美しい写真も効果的で重要な役割を果たしている。ロッシの思想に関する比較的新しい参考文献として田中純「都市の詩学」も紹介しておきたい。(米田正彦)

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